あらすじ
灰の降る街、鹿児島市。その街にある南九州一の繁華街である天文館。
そんな天文館で、ハードボイルド探偵に憧れる「僕」は「探偵事務所」の屋号を冠する何でも屋を開業した。
一時間四千円で何でも請け負う何でも屋。NGなし。
開業記念に98%オフという破格の値段でキャンペーンを打ち出したところ、即座に目をつけた女子高生が依頼に訪れる。
「怪しいセミナーに参加する親友を助けてほしい」
そんな依頼を難なくこなした「僕」だったが、それは長い長いお話しのはじまりに過ぎなかった――
ハードボイルドに憧れる「僕」が、相棒のYouTuberと共に天文館を駆け抜ける軽本格ハードボイルド小説。
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2015年に東直己のススキノ探偵に憧れたことで初めて書いたハードボイルド作品『晴れた午後には灰が降る』というものがあるが、それはほんとにもうただただ何も考えずに書いた恥ずかしいハードボイルドなので永遠に人に読まれることはないだろう。それから毎年のように設定を変え、プロットを変え、何なら主人公も変わり、延々と姿を変え続けて何本もの長編を犠牲に辿り着いた天文館探偵の極みが2021年にミステリーズ!新人賞で最終候補に残った『ザリガニの入ったコーヒー』である。ただ僕はMCUのオリジンみたいな映画が好きなので、オリジンは書かなきゃダメだろと思い立って書いたのがこれである。作成年は2021年だが、それから鮎川哲也賞に応募するまでに3度の大改稿を挟んでいる。
なぜこれを発表するにいたったかというと、12月5日に全国公開された映画『天文館探偵物語』の探偵像にただただ呆れ返ったからである。探偵とは何ぞや。その問いに10年悩み続けた僕が辿り着いた探偵をぜひお読みください。
鮎川哲也賞の最終候補に残っているので、それなりに読めるとは思います。これを読んで「この程度で鮎哲の最終候補に残れるのかよ」と思うもよし、「このレベルのものを書かなきゃ鮎哲の最終候補に残れないのか、、、」と絶望するもよし。煮るなり焼くなり好きにしてください。