あらすじ

「《人類》を愛してるんだ。人じゃなく、ね」 その言葉を聞いた瞬間、刑事アイルは悟った。 ──こいつは《純然たる悪》だ、と。 雨の夜だった。 十九世紀ロンドンの煤煙と霧が絡む路地裏で、 ついに長年追ってきた連続殺人犯《エヌ》を追い詰めた。 黒と白だけで統一された礼服。 日光を避けるためのようなつば広帽子。 怜悧で白い面差しと、優美な動き。 目の前に立つ男は悪とは思えぬ《美しさ》を帯びていた。 思想が鋭い。 言葉は冷たい。 だが、何より──胸を熱くする語り口。 (なぜ俺は、この怪物に惹かれている?) 認められるものか。 人の形をしていようと、お前は《外道》だ。 雨に濡れたコートの懐からゆっくりと拳銃を引き抜く。 引き金に指を掛けた瞬間、瞳に映るのは、己の意地か、誇りか、それとも罪悪感か。 もはや職務でも、ましてや正義でもない。 ただ──《人としての誇り》を守るため。 ベテラン刑事と、人類を愛する怪物。 誇りと存在が衝突する、わずか数秒の戦い。 「僕はね、人類を《美しく》したいんだ」 短編《美しき殺人鬼は、人類を愛している。》──開幕。

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カクヨム
カクヨム2025/12/08
  • 現在の作品美しき殺人鬼は、人類を愛している。