あらすじ
熊本・阿蘇から宮崎・日南へ。
30代の会社員・祥子は、妹カップルや親友と共に、気ままなドライブ旅行に出かけた。
雄大な景色、あか牛グルメ、パワースポット巡り。
最高の休暇になるはずだった旅は、宮崎の古びた神社「潮嶽神社」の裏手へ足を踏み入れたことで一変する。
そこで祥子が出会ったのは、白目のない漆黒の犬――すべてを喰らい尽くす神「饕餮(とうてつ)」だった。
旅から戻った祥子を待っていたのは、静かで残酷な「消失」の日々。
スマホの画像フォルダから消えていく自分の姿。
「初めから娘は一人だった」と語る両親。
鏡に映るのっぺらぼう。
世界は矛盾を嫌い、祥子という「異物」を歴史から削除していく。
誰も自分を覚えていない世界で、彼女は孤独な最期を迎える――。
「ねえ、昨日の夕飯、誰と食べたか覚えていますか?」
楽しい旅の裏で進行する、逃げ場のない存在消失ホラー。