あらすじ
高校3年の葵は、人と距離を置き、大人も英語も嫌いな「日陰」の女子。梅雨の日、教育実習で来た英語教師・愛と出会い、駅前の楽器店で再会したことをきっかけに、かつて中学で組んでいたバンドを再結成することになる。ベース経験者の愛に引っ張られ、ギターの由、ドラムの奏も戻り、さらに愛の幼なじみでピアニストの桜も加わって、葵は歌う楽しさと仲間の温かさを取り戻していく。
しかし、葵には、元彼から「変態」と嘲られた過去、母の死後に自分を「いらない」と突き放した父との確執、生まれた身体の性と心のズレに悩んできたトラウマがあり、その痛みが今も心を縛っている。愛はそんな葵の傷に真正面から向き合い、父親に啖呵を切って怒りをぶつけ、葵の存在そのものを肯定することで、固く閉ざされた心の扉をこじ開けていく。
やがて葵の18歳の誕生日。愛は「葵」という名にちなみ、向日葵18本の花束を贈る。葵はそのうち7本と11本を互いに贈り合い、「密かな愛」「最愛」という本数の花言葉で気持ちを示す。桜の後押しもあり、愛は4本の向日葵に「一生の愛」を託して不器用な告白をし、二人はキスを交わす。
紫陽花の雨の日に出会った日陰の葵が、太陽を見上げる向日葵のように、自分の名前と存在を愛せるようになるまでを、音楽と花言葉をモチーフに描くガールズラブストーリー。