あらすじ
時は、西暦七十九年。
吾輩は紫のカバンを背負った黒猫男爵。悪霊などを宝玉に変える「眠りの神」である。
『ヴェスヴィオ山が大噴火し、都市ポンペイは一夜にして廃墟化、大勢死ぬ。』
これを事前に教えてくれたのが、友人のミクリーだ。普段は山で鳥として生活し、都市では人間の女の子に変身する「予言の神」でもある。
吾輩が住民を救おうと決心すると、ミクリーが未来日記をくれた。ところが、それを開くと、噴火とは関係ないものばかりが出て来る。
噴火日まで猶予があったので、かくして二つの神は演劇を観に行く流れとなった。また、朝市に行って旨い物を食べたり、大浴場で満喫したり。しかし、服屋の店長や占い師を眠らせたり、人さらいに遭遇したりとハプニングも続出する。
すっかり、住民の生活に溶け込んでしまった神様達。これでいいのかと思っていたら、未来日記に噴火のことが表示される。急遽、対策に走る神様達。
遂に、その日がやって来た。ヴェスヴィオ山が大噴火したのだ。昼でも真っ暗、火山灰に黒い雨、火砕流に土石流。ポンペイは地獄と化した。
吾輩とミクリーは、分担して救助へ向かった。
メイン通りの住民を避難させ、海岸沿いの人達を海へ誘導し、門番を退避させる。
だが、大浴場では大勢の人達が下敷きに。大劇場も崩壊、劇団員が窮地に陥っていた。難航する中、火砕流が急接近。時間がない。ミクリーも奮闘する。もう間に合わないのか。
地獄と化したポンペイ。吾輩は心を無にして、都市の大部分の民に眠りの術をかけた。
残った闘技場へ行くと、逃げ遅れた剣闘士が必死に脱出を試みていた。迫る溶岩。出口は塞がれ絶体絶命、逃げ場はなくなった。だが、そこを吾輩の機転で脱出する。
最後に、闘技場にも眠りの術をかけ、全てを宝玉に変えた。
こうして一夜で廃墟となった。噴火はその後も続き、やがて全てが灰に埋もれて消えた。
本書は、これを体験した吾輩の記憶の物語である。