あらすじ
天才少女・佐倉鏡にとって、世界は心地よいノイズで満ちている。ざわめきも、足音も、雑多な声も——雨音のように美しく響く。
ただ一人、幼なじみの柳田凛の声だけが、鏡に“静寂”をくれた。その静寂は落ち着くのに、どこか寂しくて。だからこそ、何より特別だった。
争いもなく、誰もが「平和だ」と笑う世界。
けれど鏡には、その平和が 退屈なレコードのループ のように聞こえた。
同じ旋律を延々と繰り返すだけの、予測可能な日常。
——本当に、こんな世界でよかったのだろうか。
軍に入った日、鏡は気づく。
世界を覆う“平和のリズム”は、とっくに人の手で作られた偽物で、あの退屈なループは、壊れないように仕組まれた“規則”だったことを。
ノイズを愛する少女と、静寂を与える少女。
その二人が歩き出すのは——
平和の裏側へと続く、静かな軋みの道。