あらすじ
「死者の想い、鑑定します。ただし――呪い付きですが」
現代日本。表の世界が忘れた場所には、危険で美しい「魔法遺産」が眠っている。かつて神童と呼ばれた鑑定士・久遠寺玲(くおんじ れい)は、ある事件で資格と信用を失い、今は違法な魔法遺産の“遺品整理”で日銭を稼ぐ落ちぶれたプロだ。
ある日、彼の前に連れて来られたのは、名門魔術家系から勘当された少女・イヴ。稀代の魔術センスを持つが、「本心を口にすると激痛が走る」呪いのため、言葉は必ず本心と逆になる。彼女は傍若無人に――そして不器用に、玲の前に転がり込んできた。
「あんた、無能ね(=助けてくれてありがとう)」
嘘と皮肉ばかりの言葉の裏に隠された本心を、玲は読むことができる。なぜなら彼は、ものの記憶を“鑑定”する方法を知っているからだ。呪われた懐中時計、持ち主を殺す万年筆、終わらない雨を降らす傘――二人が調べるのは、人が死に残した“解読不能な遺言(ダイイング・メッセージ)”。それらは、ただの物ではない。死者の後悔、愛、赦し。読み解けば、誰かを救えるかもしれない。
これは、嘘つきな魔女と没落鑑定士が拾う、小さくて切ない再生の物語――。