あらすじ

16ビットの熱狂と280馬力の夢。 1990年代末、就職氷河期のただ中にあった俺たちは、ローランドSC-88proとMIDI規格に人生を賭けた。複雑な打ち込みこそが、俺たちの「発言権」だった。 しかし、ブロードバンドの普及とともに、俺たちが極めた技術は「リアルじゃない」と一蹴され、規格外として社会から放逐された。夢の象徴だったR34 GT-Rは、手の届かないノスタルジーの標本となった。 挫折から十数年後、俺はYouTubeの片隅で「代理の歌声」、ボーカロイドと出会う。その声には、かつて俺たちが生身のボーカルの「不安定さ」を制御しようと試みた、繊細で不器用な職人芸の跡が宿っていた。 過去のチープなシンセの音と、不器用なデジタルな声で、俺は再びDAWを立ち上げる。これは、報われなかったが、確かに情熱を燃やしたロスジェネの、切なくて誇らしいデジタルなレクイエムであり、再起動の物語だ。

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カクヨム
カクヨム2025/12/08
  • 現在の作品🎧 16ビットの遺言:氷河期世代がボーカロイドに賭けた280馬力の夢