あらすじ
帝都ヴァレリアは繁栄の裏で、深い闇と陰謀を孕んでいた。
その闇を歩くのは、黒い外套の“影踏み師”――ルシアン。
彼は人の影を踏むことで記憶や気配を読み取る禁忌の能力を持ち、帝都では“悪”と恐れられる存在だった。
しかし、彼の真の役目は、王国を覆う陰謀を暴くための“裏の諜報員”。
表向きには悪党として追われながら、裏では国を守るために動いていた。
そんな中、弟のカイが、自らの手で兄を陥れる「悪徳王子」役を演じ始める。
「兄さんを本物の後継者にするためだ」と、カイは自ら泥をかぶる道を選んだのだ。
しかし、その裏には彼自身の秘めた野心と痛みがあった。
ルシアンの前に現れた謎の黒影の使い手は、帝都で進行中の暗殺計画を告げる。
犯人は王宮に近い高位貴族。
裏で禁断の魔法――“影喰い”を扱い、人間の影を奪って操る恐るべき力を得ているという。
ルシアンは、悪として追われながらもこの計画を阻止しようと動き出す。
だが、暗殺計画は帝都の三勢力――
王族
魔導師ギルド
裏社会
すべてが絡んだ巨大なものだった。
帝都は次第に影に吞まれ、誰が“悪”で誰が“正義”なのか分からなくなっていく。
弟カイもまた、兄を守るために嘘を重ね、やがて危険な勢力に目をつけられる。
そしてついに、ルシアンは知る。
暗殺計画の最終標的が――王族ではなく、
「影踏み師である自分自身」 であることを。
国家の存亡と兄弟の絆、影と光のバランスが揺らぐ中、
ルシアンは“悪”を演じ続けるのか、それとも本当の悪と向き合うのか。
帝都を覆う影を払うため、
彼は最後に一つの決断を迫られる。