あらすじ
平成なんか大嫌いだ。便利なものに溢れた挙句、苦しいことが増えてしまった。
吉祥寺のサンドイッチ屋「正夢」の娘、かの子は平成元年生まれの為、二度と手の届かない昭和の世界に憧れていた。平成に未練は無い。変わらないものが好きなのに、どんどん便利になって目まぐるしく変化を遂げる世の中。あと一週間で元号が変わるという日、かの子は自ら命を絶とうと決めていた。
昭和最後の冬に死んだはずの父親、麦ノ助が現れたのは、その時だった。
信じられなかった。この男が本当に父親なのか?
どう見ても、同い年の二十九歳の男だった。
麦ノ助と会ってから、かの子は「時代の流れ」に沿って変わっていくもの、変わらないものを味わい、噛みしめていく。
流行に乗って必死で生きていく友人と、現代技術の発展を拒む幼なじみ。
昭和の暮らしを取り戻すことを目的とした、秘密結社「レトロ計画」。
父親の死亡を知らせる交通事故の記事、麦ノ助に助けられた母子の現在。
夢に現れる、謎の男。生まれ育った商店街と、昭和から続く我が家のサンドイッチ。
死ぬはずの父は何故、娘に会いに来たのか?
最後に真実を知ったとき、あなたはきっとサンドイッチが食べたくなるか、家族が恋しくなる。
昭和を知らない娘と、平成を知らない亡き父を結ぶ、ノスタルジックな奇跡の愛の物語。