あらすじ

高校二年生の伊吹馳鶴(いぶき ちずる)は、人から非難されたり、優秀な弟妹たちに侮蔑されたりすると、意識が一瞬にしてシャットダウンされる奇妙な感覚に襲われる。 それは、「火花が散り、目の前が真っ白になる」現象―――自らを傷つける現実から、内面を切り離す自己防衛反応だった。 馳鶴の家族は、母親が弟妹の進路や生活には熱心に関わる一方で、馳鶴の存在だけを物質的に満たし、精神的には完全に放置していた。 家族が団欒する声が聞こえるリビングの隣で、馳鶴の空間だけが「静寂な空白」として存在していた。 唯一、彼を無条件に認め、その存在を肯定してくれるのは、一つ年上の幼馴染、長谷樹隼(はせぎ しゅん)だけだった。 隼は馳鶴の「馳せる心」を知り、その不安定な魂を静かに支える「長谷」のような存在だった。 しかし、ある日、馳鶴は家族が自分を「放っておいても大丈夫な存在」として認識していることを知り、その「白い静寂」が起こる頻度が急増する。 自分自身が世界に存在している証拠を見失いかけ、深い自己の空虚に飲まれそうになる中、彼は隼やクラスメイトから受け取った「肯定の光」を必死に手繰り寄せる。 自分を認めない家族と、認め始めた他者、その「青の境界線」に引き裂かれた馳鶴は、過去の傷を乗り越え、自分自身の力で白光の意味を解き明かす。 これは、誰にも理解されなかった孤独な青春の中で、「過ぎ去る春」の日のように傷つきながらも、自らの存在を肯定し、新たな一歩を踏み出す少年・馳鶴の自己探求の物語である―――。

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