あらすじ
地図のあちこちに、ぽっかりと空いた《空白(ブランク)》。
地形が捻じれ、魔力が渦巻く「世界のほつれ」。
そこへ踏み込み、地図に線を引き戻す者たちを、《記録者(レコーダー)》と呼ぶ。
下層街育ちの訓練生リヴェン・ソラスは、ただの《剣士》として、その道を目指していた。
目標はひとつ──王族のSランク戦士ルシアン・アークウェルの隣に立つこと。
訓練校での実習、魔獣との戦闘、仲間との誓い。
ようやく巡ってきた《終了試験》の遺跡で、リヴェンは仲間の命を前に、思わず手を伸ばす。
触れた掌から溢れたのは、剣ではなく、淡い癒しの光だった。
「リヴェン・ソラスは、ヒーラーSだ」
誰より先に、その事実に気づいてしまったのは、ルシアンだけ。
前に出たがる剣士志望の少年が、後方から支えるべき最高位のヒーラーだったと知った時──
彼は、王族としての判断と、ひとりの仲間としての願いの間で揺れる。
前衛志望のS級ヒーラーと、彼を前に立たせたがらないS級戦士。
魔法使い、弓使い、密偵を加えた五人は、蒼紋のギルド《シジル》として地図の空白へと歩き出す。
「俺は剣士だ」
そう言い張る少年と、
「潰れるなよ、ソラス」と呟く王族。
戦場で並び立つうちに、ふたりの距離は少しずつ変わっていく──。