あらすじ
感情がそのまま絵の具になる特殊体質を持つ少年・鈴木。
寒色しか出せず、赤だけがどうしても描けない。美大受験を控える彼にとって、それは自身の限界を突きつける弱点でもあった。
ある早朝の美術室。偶然そこを訪れたクラスの美少女・彼女が、何の濁りもない言葉で「好きだよ」と彼の絵を肯定する。
その瞬間、少年のキャンバスには、生まれて初めての“赤”が滲み始める。
それは絵の具ではなく、誰かに真正面から認められた心の震えが作り出した色だった。
世界で最も描きたかった色は、ずっと彼の外側にあった――。