あらすじ
県で初めての「障がい者雇用教諭」として、山奥の中学校に赴任した山本成美。
ASD(自閉スペクトラム)と病弱体質を抱えながらも、
「みんなの役に立ちたい」「迷惑だけはかけたくない」と、
片道一時間半の運転と、月60時間超の残業に身を投げ出していく。
朝は7時前に出勤、授業・殴り合いの仲裁・保護者対応・部活・行事準備。
“空き時間”は4クラス分の採点とプリント印刷で消え、
給食は「先生はあとで職員室で食べるから」と笑いながら、実際はほとんど口に入らない。
体は悲鳴を上げているのに、
「休んだら誰かの授業が増えるよ?」
「昔の先生は吐きながらでも来てたわよ」
という言葉が、成美の喉を塞いでいく。
やがて、帰りの車の中で自分に罵声を浴びせ、
部屋の壁には「死にたい」の付箋が増えていき――
これは、“弱い人”が壊れた話じゃない。
壊れている教職現場に、“前例”として投げ込まれた一人の教師の記録。