あらすじ
感染研究施設〈セクションD〉地下三階。
70種類を超える危険な病原体が眠るその階で、突然のロックダウンが発生する。
設備整備士・久我遼は、管理主任の宮坂、研究員の沢渡梢らが閉じ込められたブロックBへ向かうが、アナウンスは冷酷に告げる。
――「感染疑いの高い者を排除せよ。生存者には出口を用意する」。
名指しされ、パニックを起こした者は、床下のダクトやガラスブースの「除染」によって、あまりにも滑らかに“処理”されていく。しかし遼は気づく。
空調の向き、異常な温度上昇、ストレスを煽るように変化する環境。
これは「感染拡大の防止」ではない。
ストレスで心拍・血圧を上げ、「鉄分凝固ウイルス」を発症させるための人体実験だと。
鉄の多い血は、心臓や血管ごと詰まって死ぬ。
一方、先天的な貧血体質で「薄い血」を持つ沢渡梢だけが、なぜか生き残る。
やがて、次の感染疑いとして指名されるのは遼自身。
追い詰められた彼が選んだ生存戦略は、自分の血を“貧血レベル”まで減らし、黒幕の実験条件そのものを書き換えることだった。
事故は本当に事故だったのか。
処理されたはずの研究員・河合はなぜ、生きてエピローグに現れるのか。
鉄で濁った死体と、“透明な血”を持つ生存者だけが知る、新しい生物兵器の正体とは――。