あらすじ
代々“イヅナ”という妖を宿し、生涯その餌となる妖魔を狩り続けねばならない家系に生まれた九重大希。
狩りが足りなければ、イヅナは“宿主が一番大切に思う相手”の生気を奪う。
最初の犠牲者は、大希の母だった。
誰かを大切にしてはいけない。
恋なんて、なおさらしてはいけない。
そう自分に言い聞かせながら学生生活を送っていた彼は、
二歳下の後輩・陽向に心が傾きかけた瞬間、
わざと彼女が聞こえる場所で酷い言葉を吐いて関係を断った。
──守るための拒絶。
そんな言い訳すら、彼女を傷つけた事実の前では無力だった。
時が流れ、今は“呪いの代行業”として妖を狩る大希。
ある日、“呪殺希望”の依頼人と会うためカフェへ向かうと、
そこに座っていたのは、数年前に自ら突き放した陽向だった。
「依頼……? いえ、私、友達と待ち合わせで……」
ただの偶然。
そう理解した瞬間、さらに予想外の“第三者”が現れ、
かつて大希が吐いた言葉をなぞるような最悪の真実を突きつける。
傷ついたはずの彼女は、それでも穏やかに笑って言った。
──「対象外なのは、わかってましたから」
去ろうとする陽向の腕を、思わず大希は掴んでしまう。
抑えてきた想いと、胸の奥で蠢くイヅナが熱を上げる。
もう“対象外”ではいられないと告げるように。
これは、
“守るための拒絶”で互いに遠回りした二人が、
再会とすれ違いの果てに向き合わざるを得なくなる、
切なく焦げる和風異能ラブストーリー。