あらすじ
都会の暮らしに少しだけ息が詰まって、私は逃げるようにじいちゃんの家へ向かった。
最後に訪れたのはいつだったか。
ばあちゃんが亡くなってから、一人になったじいちゃんがどうしているのか、気にならないと言えば嘘になる。
夏も終わりのその日、生ぬるい風が止んだかと思うと空はあっという間に黒い雲に覆われた。
庭先で黙々と草をむしっていたじいちゃんが、ぽつりと「夕立だなぁ」と呟いて縁側に腰を下ろす。
やがてじいちゃんがぽつり、ぽつりと語り始めたのは、私の知らない、昔の話。
雨が降るたびにこの縁側で繰り広げられていた、ささやかで、けれど何よりも大切な時間の記憶だった。
「第7回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品です。
テーマは「雨宿り/風鈴」
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