あらすじ
空に島々が浮かぶ「空海」の世界。そこは、壊れた機械と失われた技術が眠る墓場だった。
最下層の島で暮らすレンは、前世で美術館の修復師だった記憶を持つ転生者だ。彼には、触れた物の時間を巻き戻して直すユニークスキル《修復(レストア)》があった。
だが、その力には残酷な代償があった。何かを直すたびに、レン自身の「大切な思い出」がランダムに消えてしまうのだ。
それでもレンは直すことをやめない。「直せばまだ使える」「傷にも歴史がある」と語り、壊れた世界を繕い続ける。
ある日、レンはゴミ山で、胸に風穴の空いた美しい少女の人形を拾う。
それはかつて世界を滅ぼしたとされる伝説の兵器、「機械の聖女」エルカだった。
レンは迷わず、自身の「幼少期の記憶」を全て犠牲にして彼女を修復する。
目覚めたエルカは、レンが失ったはずの「優しさ」や「記憶」をその回路に宿していた。
「問います。なぜ、廃棄物(わたし)を直したのですか」
「壊れ方が、泣いてるみたいだったからさ」
これは、記憶を失っていく修復師と、心を持った破壊兵器が紡ぐ物語。
二人はやがて、バラバラになった世界そのものを「金継ぎ」で繋ぎ合わせ、新しい大地を創り上げていく。