あらすじ
戦争が続く王都アストリア。
近衛騎士アレンに想いを寄せながらも、言えないまま彼を戦地へ送り出した少女・リナは、
ある日——「近衛がひとり帰らなかった」という噂を耳にする。
名前は出ていない。
でも胸の奥で、最悪だけが形を成していく。
伝えられなかった言葉。
触れられなかった手。
愛だと気づくには遅すぎた想い。
「もう二度と会えない」
そう呟いた瞬間、王都に響く凱旋の号外。
戻ってくる軍列。揺れる旗。夕暮れの色。
そして、灰色に沈んでいたリナの世界の中を、ただひとり歩いてくる影。
――死んだと思っていた人が、生きていた。
止まっていた世界が、静かに動き出す。