あらすじ
感情が“医療の誤診を生む”として、
人間の感情が数値で管理される社会。
医師たちは機械のような冷静さを求められ、
一滴の情緒すら失えば資格を剥奪される──そんな時代。
その中で、
静かに規範を破り続ける外科医がいる。
氷室アサギ。
彼女の手は、いつも微かに震えていた。
その震えは、医師として致命的な欠陥——のはずだった。
しかし患者は、なぜか彼女を選ぶ。
彼女の手だけが“救い”を掴むと知っているかのように。
ある日、氷室の脳裏に
存在しないはずの少女の声が響く。
「……先生、また会えたね。」
その瞬間から、
封じられていた過去が揺らぎ、
病院中で“不可能な出来事”が次々と起き始める。
監査官・結城セイは、氷室に疑念を抱く。
天才にして異端の医師・天願は、笑みの奥で何かを知っている。
そして氷室は気づいていく。
自分の優しさが、誰かを救い、誰かを壊してしまうかもしれないことを。
少女は誰なのか。
なぜ彼女の声は氷室だけに届くのか。
管理された医療社会の裏で、何が隠されているのか。
やがて、ひとつの選択が迫られる。
正しさで人を守るのか。
優しさで人を救うのか。
震える手が導く結末は、
この世界の“医療”そのものを変えていく——。