あらすじ

プロ入り後、期待を裏切るように堕落していった三井。 夜の街でチヤホヤされ、自覚のないまま才能を磨く姿勢を失い、二軍暮らしが当たり前になっていく。そんな彼の心のどこかには、いつも“ある人物”が引っかかっていた。 ――高校時代、ともに甲子園を戦った相棒・熊野。 一方の熊野は、才能で勝負できるタイプではなかった。球速も体格も平凡。だが工場勤務と両立しながら、一球一球に全てを懸けるように社会人野球で投げ続けていた。 彼にとって三井は、特別な存在だった。自分より先にプロへ進み、大観衆の中で輝く姿を誇りにさえ思っていた。 そんなふたりの距離が大きく変わるのは、三井がどん底に沈んだときだった。 過去の栄光だけで生きてきた三井は、自分の腐りきった姿を見つめ直すため、ふと熊野の所属する東亜製鉄四日市を訪れる。そこで目にしたのは、華やかさとは無縁の、泥臭くて、汗にまみれた野球の現場。 そして、あの日のままの姿勢で野球と向き合う熊野だった。 三井はショックを受ける。 「俺は、こいつから逃げていただけなんじゃないか」 そして、あることをきっかけに三井はゼロからやり直す決意を固める。 熊野の前で、そして自分自身の前で、もう一度“ルーキー”として立つために。 だがふたりには、それぞれ別の現実が立ちふさがる。 三井にはプロとしての厳しい生存競争が、熊野には年齢と社会人選手というハンデがある。 同じ夢を追う者でありながら、同じ場所には立てないかもしれない。 それでもふたりは進む。 交わした約束を胸に、互いの背中を追いながら。 (Nola・小説家になろうにも投稿済み)

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カクヨム
カクヨム2025/12/05
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