あらすじ
朝の街は、まだ完璧に日常の形を保っていた。
ただ、ごく微細な“欠落”だけが生じはじめている。
主人公は、その異変を世界のほころびとして最初に感知してしまう。
掌には理由の分からない黒い立方体。
それを手放すと世界が摩耗しはじめるという“理解”だけが残っている。
地図にも記されていない場所へ向かうべき理由は説明できない。
ただ、そこへ行かなければ世界が形を保てないと分かっている。
微細な異常は、知覚の死角として現れ、
やがて日常の構造そのものを侵しはじめる。
——世界が崩れる前に、
主人公は自分の内部から“あるもの”を切り離さなければならない。
これは、
異常が始まる直前の、静かな臨界点の記録。