あらすじ
「付き合って、カップルになって――でも結局、結婚しなかったら無駄な時間になるんじゃない?」
「いやいや……実際に結婚したらどうなるかなー、の練習のためにお付き合いしている、って意味もあると思うのよ。つまり無駄じゃない」
「えー、そうかなあ? 付き合わなくても友達のままリハすればよくない? わざわざ付き合う必要ってないと思うのよねー……それに。お付き合いすると肩に力が入るでしょ。この人に好かれたい、嫌われたくないから――自分を偽って、相手を騙して。……でも友達のままだったらいつでも切れるんだから、便利じゃん。え、違うの?」
「……彼氏、ほしくないの?」
「べつにー。彼氏はいらない。旦那さんが欲しい!」
色々とすっ飛ばしているが、それが彼女――宮前の持論だった。
信念、とまでは言わないが……。
世間のカップルが『付き合ったら険悪になった』データを見ている。
ソースは知らん。
ともあれ、友達のままだったら無事に繋がっていただろう関係性を壊してしまうくらいなら、中間はいらないだろう。つまり、友達でいるか、結婚するか……ふたつにひとつだ。
「でも、あんたの持論だと危険でしょ。結婚して分かることもあるわけで……そのとき、簡単に離婚できるわけじゃないのよ?」
「できるでしょ」
「いや、まあできるけど……その、世間体とか……」
年の離れた姉の離婚騒動のことを思い出し、黒川は遠い目になった。
……そのお姉さんは相手とお付き合いをして結婚しているのか?
という質問に、黒川は頷いた。
それがスタンダードらしいが……。
「結局、離婚してるね」
「……そうだけど」
入念に確かめたところで離婚している。
友達からカップルへ、そして夫婦になっても――壊れる時は壊れるものだ。
だったら、友達からすぐに結婚へ持っていっても、大差ないのでは?
付き合うことで離婚する可能性は下がるかもしれない……が、0になることはない。
リスクはやはり抱えるものだ。
友達のままの方が、お互いの嫌なところだってよく見えてくるのではないか??
「やっぱり友達のままがいーじゃん。いまの段階で結婚してもいいと思えるなら、付き合う前に結婚しちゃえば? あたし、応援するよー」
「簡単に言ってくれるわね……」
「だって簡単なことだもん」