あらすじ
【千葉のとんかつ屋に、ヒレカツ慕情がやってきた】
千葉県某所、とんかつ屋『か◯億』。
六代目店主・御徒億三と、二代目見習い・億人の親子が営む店に、
ある朝、近所の精肉店「肉の五光屋」の未亡人・かな枝が訪れた。
「主人が最後に仕入れた"特選ヒレ"が出てきたの」
「御徒さんの腕で、最後に"供養"してほしいのよ」
六ヶ月前に事故で亡くなった夫が遺した、最後のヒレ肉。
「あの子、最近よく食べるのよ」
「でもね、時々心配になるの。父親の分まで食べようとしてるんじゃないかって」
娘・あかりへの母の想い。
億三は決意する。
「今日は、限定ヒレカツランチを出す。"五光屋スペシャル・ヒレカツ慕情"」
「何その昭和歌謡曲」
億人の腕が唸る。
「──"慈脂ヒレ霞斬り"」
「勝手に技名を増やすな」
ロースの"滅脂鳳凰撃"から、ヒレの"慈脂霞斬り"へ。
攻めから、守りへ。
「"最後の一枚"じゃなく、"始まりの一枚"としてな」
億三のぶっきらぼうな優しさ。
「主人のヒレと、全然違う……」
「でも、ちゃんと"あの人の肉"の味がするの」
かな枝の涙。
「肉はな、使われないまま冷凍庫で眠るより、
誰かの胃袋で花火のように、ぱあっといったほうが幸せなんだよ」
そして、宿敵・阿久津背脂も参戦。
「お前のヒレは──"毎日は無理だが、週二ならワンチャンいける"味だ!」
「割と頻度高ぇな!?」
あかりの想いも揺れる。
「億人さんのヒレ、また食べたいから」
次の闇大会のテーマは、ヒレカツ。
億人は、五光屋のヒレと、あかりの想いを胸に、再び闇のリングへ。
「ロースを超えて、ヒレへ。脂を超えて、愛へ」
ヒレカツ一枚に込められた、人の想い。
託すこと、託されること。
喪失と再生の物語。
とんかつドラマ、第二弾。 こんどは人情ヒレカツだ。
※前作「揚げよ!か◯億」の続編ですが、単独でも楽しめます
※読後、ヒレカツが食べたくなります
※涙腺にも、胃袋にも来ます
※千葉グルメシリーズ第五弾
前作が読みたい方はこちら
https://kakuyomu.jp/works/822139840200289620/episodes/822139840200317652