あらすじ
落ち続けていた。
気づかれもせず、誰にも触れられず、
ただ静かに深度を増していく“落下”の毎日。
ヒトミの世界は、いつも孤独と沈黙で満ちていた。
歌だけが、彼女が落ちすぎないように支えてくれる唯一の翼――
『歌』を歌うときだけ、彼女は息ができた。
しかしある夜、歌声に呼ばれたように“世界が歪む”。
雨は突然止み、非常階段は絡み合い、
龍雲の影が天井をかすめ、少女の落下は“限界点”を迎える。
いじめられ、ノートを泥に落とされ、
もう声も出なくなったその瞬間――
緑の炎を纏った少女が現れた。
制服を着ているのに異質。
光を宿した髪。
温度のない瞳。
世界のほうが彼女を避けているような存在。
そして、ヒトミに向かって静かに告げる。
「いいえ、私は――サソリよ」
「……芽衣子。そう呼んで」
この物語は、
“落ち続けてきた少女”と、“落下すら支配できる少女”が出会う物語。
孤独、いじめ、嘘、沈黙、街の歪み、因果のねじれ。
そのすべてがヒトミと芽衣子をひとつの場所へ導いていく。
HELLO NO FUTURE.
世界の底で出会った少女たちは、まだ知らない。
この夜こそが――混沌の序章にすぎないことを。