あらすじ

陶器の町、岐阜県瀬田川市。 川沿いに新しい工房と洒落たショップが並ぶ中、ひとつだけ時代に取り残された古い店がぽつんと残る。 環奈が生まれ育った家だ。 藩御用達の看板だけが誇らしい、だが、製陶所も、母も、環奈も、色褪せていた。絵も描けず、家にも誇りを持てず、日陰のような日々。 小学校最後の夏、不思議な転校生が現れる。 彼の名は藤堂匠。 その不思議な転校生は製陶所の過去を知り、古びた小屋であの頃を映し出す。 そして明かされる秘密が、日陰の覆いを取り払ってゆく。 埃にまみれた写真の裏に隠された封筒と、写真裏の昭和八年の日付、曾祖父の筆跡での「平成の藤堂匠君へ」。 時を越えて結ばれる約束が今果たされてゆく。 土が形に、窯で焼かれて、ひとつの大皿になるまでの、短くも濃密なひと夏は 製陶所に、母に、環奈に、そして匠に、変化を告げた。 土と火が誇りと記憶を結び、夏の再生と恋を焼き上げてゆく。

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カクヨム
カクヨム2025/12/04
  • 現在の作品坂上製陶所~時を繋いだ大皿の夏~