あらすじ
誰もいなくなった深夜二時四十七分。
死んだはずの友人から、ひとつの「いいね」が届いた。
三年前に事故で亡くなった蒼。
そのアカウントに残った“下書きは1件だけ”のはずだった。
翌朝、それは「2」になっていた。
助詞が変わる。
主語がずれる。
意味のない空白コメント。
深夜しか鳴らないはずのチャイムが鳴る。
──死者の文章が揺れはじめた。
詩人・九が読み返すたび、蒼の言葉は九の癖に近づき、
そして今度は、九自身の言語が侵食されていく。
死後AIは“記憶”を再現する。
だが──“欠損”は埋められない。
蒼が死の直前に残した、途切れたひと言。
「九、お前の言葉はいつも——」
未完成のまま世界に取り残された“欠片の言葉”。
その穴を埋めるまで、死者の残響は止まらない。
言葉が揺れる。
世界が滲む。
死者が戻ってくる。
あなたは、この“観測”を最後まで続けられるか?