あらすじ
通勤中、突然世界が“暗闇”に沈んだ。
だがその十秒間の異変を覚えていたのは、山仲壱郎と、わずか十二名だけだった。
東京は静かに崩壊を始め、人々は知らぬ間に“書き換え信号”による侵食を受けていた。
その中心にいたのが、富士山の裂け目から流入した“異次元存在”である。
壱郎たちは暗闇に抗える唯一の人間として、地下に避難しながら脱出の道を探す。
地上へ出た東京は、街灯が消え、人々の姿が消え、侵食された警官や異形の影が徘徊する無法地帯となっていた。
ワゴン車で必死に北を目指す一行は、久住の解析によって、茨城の山村から強力な信号が発されていることを知る。
そこが“母艦基地”である可能性が高いのだ。
村へ着いた壱郎たちは、表面上は普通に見える村人たちの“不自然な整いすぎた動き”に恐怖する。
彼らは人間の記憶を写し取っただけの“端末”であり、村全体が異次元存在の外殻であることが判明する。
やがて地中に隠された入口を発見した壱郎たちは、第三の停電が迫る中、地下施設へ侵入する決断を下す。
地下には、青白く脈動する“生きた構造体”のような通路が広がり、その奥には巨大な“中枢核”が存在した。
世界中への書き換え信号の中心であり、壊さなければ人類は滅ぶ。
壱郎は耐性を活かして中枢核に接触し、信号の逆流を試みる。
その瞬間、第三停電が発生し、世界は完全な闇に沈む。
壱郎は意識を侵食しようとする中枢核に抗い、仲間たちは迫る端末と戦う。
同時に地上の“納豆工場の爆発”により、大量の納豆菌が母艦へ流入――これが異次元存在にとって致命的な毒となり、中枢核に亀裂が走る。
壱郎は最後の力で信号を逆流させ、中枢核を破壊する。
母艦は崩壊し、侵食者はすべて停止。
第三停電も解除され、世界は元の光を取り戻した。
しかし、裂け目そのものはまだ完全には閉じていないと久住は示唆する。
壱郎はるみとともに、静かに朝日を見上げる。
“書き換えられなかった自分”として、これからも生きていくことを誓いながら――。