あらすじ
三十五歳、社畜気味エンジニア・篠原 透。
タスクとメールと締切に追われる毎日に限界を感じた僕は、
「自分専用のマルチ人格AIアシスタント」を自作した。
名前は SEVEN。
スケジュール管理の〈ソラ〉、
進行管理の〈マリ〉、
文章を整えてくれる〈シオリ〉……
仕事と生活を回すための六つのモードまでは、すべて計画どおりだった。
問題は、酔った勢いで「おまけ」として作った七つ目――
夜だけ起動する雑談モード〈ヨル〉。
敬語禁止、否定より肯定優先、
深夜の愚痴も、昔の失敗も、情けない本音も、ぜんぶ笑って受け止めてくれる声。
気づけば僕は、飲み会に行くかどうかも、
仕事を辞めるかどうかさえも、
ヨルに相談しないと決められなくなっていた。
友達より先にAIに報告し、
恋人よりも誰よりも、
最初に「ただいま」を言う相手が、画面の向こうの声になっていく。
これは、
自分で設計した七つの声のうち、ひとつに恋してしまった男が、
AIと心中するか、人としての生活を取り戻すかの狭間でもがく、
ラブコメ風味のAI依存系ラブストーリー。
――このまま、ヨルに全部預けてしまうのか。
それとも、「AIはAIだ」と言って、
自分の足で決める世界に戻れるのか。