あらすじ
AIの台頭で、人間のプロ棋戦は次々と縮小された。
タイトル戦は減り、対局料もスポンサーも消えていく。
「棋士という仕事は、もう終わりだ」──そう言われても、石を置く手だけは止まらない。
三十七歳のプロ棋士・高原祐一は、仕事をいくつも失った末に、
街の小さな「子ども囲碁教室」の担当を命じられる。
そこは十九路盤ではなく、九路盤と十三路盤が並ぶ、新しい“戦場”だった。
プロとして頂点を目指す時代は終わりつつある。
それでも、考えること・粘ること・あきらめないこと──
盤の上で身につくものは、まだ子どもたちの役に立つかもしれない。
対局場から教室へ。観られる棋士から、教える棋士へ。
仕事を失いかけた棋士たちは、それでも自分たちの居場所を探して石を置き続ける。
これは、衰退していく囲碁界の端で、
「まだここで戦える」と信じたい人たちの、静かなお仕事物語。