あらすじ
首吊りロープが空から垂れるこの街には、景観を守るために〈首を吊った人を降ろす仕事〉が存在する。
学歴も、資格も、技術もいらない手取り40万円の仕事だ。
楽ではないが、先輩の〈後藤さん〉と妊娠した奥さんの為にがむしゃらに働く後輩の〈佐々木〉と助け合いながら、忌み嫌われた仕事を続けている。
あの日、人ではない肉塊が吊るされるまでは――
その肉塊を見た時、佐々木が言った。
「あれって、胎盤じゃないですか?」
あの首吊りロープで、本当に自殺が行われているのか。
それとも別な意味があるのか。
この街の住人は、誰一人として自殺の瞬間を見てはいない。