あらすじ
【あらすじ】
信頼していた投資メディアの推奨企業が破綻。全財産を失ったQAエンジニア・本間海人は、メディアが証拠を削除したことに義憤を覚える。彼は匿名アカウントで「消された記録」を丁寧にアーカイブし始める──。
【あらすじ・詳細版】
32歳のQAエンジニア・本間海人は、人気ビジネスメディア「The VISION」を信じて全財産1000万円を投資するが、推奨企業の粉飾決算で全てを失う。さらにメディアは関連コンテンツを削除し、なかったことにしようとしていた。
「バグは隠すな、修正しろ」──職業倫理に従い、海人は匿名アカウント「Archivist」として、Webアーカイブや削除された投稿の痕跡を収集。感情を排した事実の提示が、静かに、しかし確実に拡散していく。
追い詰められたメディア代表・真坂桃李は、保身と理想の間で揺れる。果たして彼は、自らの失敗と向き合えるのか。
デジタル時代の誠実性を問う、社会派ヒューマンドラマ。
【登場人物】
◆本間 海人(ホンマ カイト)
主人公。32歳。中堅IT企業のQAエンジニア(品質保証担当)
匿名アカウント「Archivist」として、真坂を追い詰めていく。
◆真坂 桃李(マサカ トウリ)
38歳。ビジネス動画メディア「The VISION」編集長兼メインMC。
SNSフォロワー50万人
◆香織(カオリ)
29歳。海人の婚約者。公立中学校教師。
【用語説明・IT用語】
◆QAエンジニア(Quality Assurance Engineer)
品質保証を担当するエンジニア。ソフトウェアのバグを発見し、品質を高める役割。本作では、この職業倫理が物語の核となる。
◆404 Not Found
Webページが存在しない際に表示されるエラーコード。本作では、真坂が削除したコンテンツの象徴として使われる。
◆Web Archive(ウェブアーカイブ)
インターネット上のWebページを保存する非営利プロジェクト。過去のページ構成をスナップショットとして記録している。海人が証拠収集に使用する主要ツール。
◆キャッシュ
一度アクセスしたWebページのデータを一時保存する仕組み。削除されたページでも、キャッシュに残っている場合がある。
◆メタデータ
データについてのデータ。Webページであれば、最終更新日時、作成者情報などが含まれる。海人はこれを分析して削除のタイミングを特定する。
◆Web魚拓(ウェブぎょたく)
Webページを保存するサービス。魚拓のように、Web上の情報を「写し取る」ことからこの名称。
◆タイムスタンプ
データが作成・更新された日時の記録。海人はこれを突き合わせることで、削除のタイミングが不祥事発覚直後であることを証明する。
【用語説明・金融用語】
◆粉飾決算
企業が財務諸表を意図的に操作し、実態より良く見せかける不正行為。
◆東証グロース市場
東京証券取引所の市場区分の一つ。成長性の高い企業が上場する。リスクも高い。
◆上場廃止
証券取引所での株式売買ができなくなること。重大な不正が発覚した場合などに適用される。
【用語説明・メディア関連】
◆説明責任(アカウンタビリティ)
自らの行動や決定について説明する責任。メディアが情報を削除する際にも求められる。
◆ステルス削除
告知なしに、こっそりとコンテンツを削除すること。本作で真坂が行った行為。
◆投資助言業
金融商品の価値や投資判断について助言を行う業務。登録が必要。真坂は「投資助言業ではない」と主張する。
【用語説明・その他】
◆Archivist(アーキビスト)
海人が使用する匿名アカウント名。「記録者」「文書管理者」の意味。消された記録をアーカイブする者。
◆デバッグ・モード
バグを見つけて修正するモード。海人が真坂の「バグ」を修正しようとする行動の比喩。
◆修正パッチ
ソフトウェアの不具合を修正するプログラム。