あらすじ

作家・篠宮悠斗は、島に残る古い祠とその伝承を取材するため、神津ヶ島を訪れる。 潮に守られ、外界から隔てられたこの島では、祠は「海を鎮めるための境界」として長く信仰の中心にあった。しかし近年、その祠が何者かによって破壊され、島民の間には不安と疑心が広がっていた。 祠にまつわる過去を探っていくうち、悠斗は島の古文書に秘められた“ある真実”に辿りつく。 祠はもともと、犯罪者でも悪霊でもなく、海に命を奪われたひとりの人間の魂を慰めるための場所だった。 祟りではなく、忘れられた祈り―― その事実を知った悠斗は、なぜ祠が壊されなければならなかったのかという疑問にとらわれる。 島民との対話を重ねる中で、悠斗はひとりの人物へと行き着く。 祠を壊した犯人。 その動機は悪意ではなく、“亡き者を苦しみから解放したい”という歪んだ慈しみだった。 祠は祈りの象徴であると同時に、犯人にとっては消えない罪の象徴でもあったのだ。 潮騒の響く海辺で、悠斗は祠の本当の意味を見つめ直す。 祈りは誰のためにあるのか。 赦しとは何を指すのか。 そして罪は、どこまで人を縛るのか。 静かな海に抱かれた島で、過去と現在が交差し、忘れられた魂の叫びがやがて潮に溶けてゆく。 ――『潮騒の果てで君を待つ』は、祈りと記憶が導く、静謐で切ないフォークロア・ミステリーである。

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小説を読もう2025/12/03
  • 現在の作品潮騒の果てで君を待つ