あらすじ
二元論が横行する最中、学徒は片手に火炎瓶、片手に参考書を持ち虚ろな瞳で付和雷同。校則という秩序のもと、仮初めの倫理観と不文律が首の皮一枚繋ぎ止めていた明澄第三青雲高校。そんなケイオスに突如として頭角を現した第三勢力。平々凡々、総合的ニュートラルに美徳を感じる事勿れ主義の集い。その長こそが放送室を根城とする"明澄ブロウドキャスト"こと放送部である。
そんな放送部の部員である紀伊昭穂〈きいあきほ〉はある目的を完遂するべく日夜奔走していた。馬鹿げた目標を掲げて。
ある日、彼は放送部の存続をかけて新入部員を探し求めていた。狙うは学年のアイコンとも呼べる斉藤涙〈さいとうるい〉。そんな彼女の勘違いで彼は相棒であり放送部部長の有坂慧〈ありさかけい〉に告白をしなければならなくなる。好きでもない慧に告白をする、そんな窮地に昭穂は1つの光明を見つける。好きになればいいのだと。基本装備の倫理観が育む罪悪感がその考えに拍車をかける。
"絶対に好きになってから告白するのだ"と。
言葉を伝える。ただそれだけなのに。彼は有坂慧を好きにならなければいけなくなってしまった。
人は言葉を信じている。見えない何かがそこにあると。
渦巻く野望、真実の正体、そして一握りの愛の所在。
すべてが言葉に形取られると昭穂は今日も信じている。
だから言葉を届けている。