あらすじ

静かな放課後、人気者の蒼と、クラスでは目立たない凛。 本来なら交わるはずのない二人は、なぜか放課後の屋上でだけ会うようになっていた。蒼が理由も言わず凛を呼び出し、凛も理由を聞かずに応じる——そんな曖昧な関係のまま、季節だけが過ぎていく。 凛にとって蒼は、眩しすぎる存在だ。誰とでも仲良くでき、明るくて、みんなの中心にいる。そんな彼がなぜ自分にだけ特別に声をかけるのか、凛はずっと分からずにいた。 蒼の笑顔を見るたびに胸がざわつき、その理由を理解したくなくて、凛は自分の気持ちに蓋をしていた。 一方の蒼も、思うように凛へ近づけずにいた。本当はクラスでも普通に話したい。でも、凛が周囲の目を気にしていることに気づき、あえて屋上だけを“二人の場所”にしていた。 言葉にできない想いを抱えながらも、蒼は凛が来てくれるたびに、その時間を宝物のように感じていた。 ある日、凛は決心して尋ねる。 「なんでさ、俺なんかに声かけるの?」 蒼はいつものように明るく笑うが、その表情の奥には緊張がにじむ。 風が吹き抜ける中、蒼は小さく息を吸って答える。 「……好きだから、じゃダメ?」 思いがけない告白に、凛の心臓は大きく跳ねる。ずっと避けてきた感情が、一気に形を持って押し寄せてくる。 蒼が自分を選んでくれたことが嬉しくて、怖くて、でも何よりもあたたかい。 「俺でいいの?」と震える声で問い返す凛に、蒼ははっきりと頷く。 「凛じゃなきゃダメなんだよ」 夕焼けに染まる屋上で、二人はそっと手を重ねる。 それは派手でも劇的でもない、小さくても確かな一歩。 不器用な二人が、やっと同じ想いを確かめ合った瞬間だった。 この場所で、何度もすれ違いながら、それでも引かれ合っていた二人。 放課後の風の中で交わされた約束——「来年も、再来年も、ここで会おう」 その言葉が、二人の未来をそっと繋いでいく。 夕焼けの屋上から始まる、静かでやさしい青春BL。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2025/12/02
  • 現在の作品『放課後、屋上にて』