あらすじ
会社員として平凡に生きていた俺・アルトは、ある雨の日、横断歩道へ飛び出した子どもを助けようとしてトラックに撥ねられ、意識を失う。次に目覚めたのは、何もない白い空間。そこで現れた“神様”を名乗る存在に、俺は死んだこと、そして別の世界へ転生することを告げられた。
神様から授かったのは、この世界では誰もが一属性しか持たないのに対し、八属性すべての魔法を扱える力。しかし威力は全て“初級”に制限され、さらに俺の魔力は減少しないという、奇妙な特性もあった。「強大な力ではない。ただ幅を与えるだけだ」と神は言う。
転生後の俺は、前世の記憶を持ったまま、ごく普通の両親のもとに生まれ、恐れられることも危険視されることもなく育つ。周囲からは“魔法を幅広く使える変わった子”程度に受け止められ、平穏な日常は自然に受け入れられていった。
やがて三年が過ぎ、初級魔法しか使えないにも関わらず、魔力がまったく減らないという世界の理から外れた能力だけが、静かに存在感を増していく。
そして第一章の終わり、俺の前に“黒い四つの影”が現れ、日常の終わりと物語の始まりを告げるのだった。