あらすじ
この世界は虹色――七つの色で構成されている。
赤は炎、橙は地、黄は雷、緑は生命、青は調和、藍は深淵、紫は精神。
創造主ノアが放った七色が世界となり、人はその色を宿して生まれた。
……そう“信じられてきた”はずだった。
ただし、虹には含まれない色がある。
それが 白――“無色(トーンレス)”と呼ばれる弱い色。
七色のどれにも属さず、魔法の適性もないとされ、しばしば軽んじられる色。
白の国――ハクレイン王国。
終日雪が降り続き、すべてが白く塗りつぶされていく国で、
白髪と白い瞳を持つ少年カイル・レヴナードは、孤児院で静かに暮らしていた。
雪かき、薪割り、買い出し。
白の国に生まれた者の多くがそうであるように、カイルも「助け合う日常」の中で生きていた。
弟分のルカや子どもたちに慕われながら、色の力がなくても温かい家族に囲まれていた。
ある日、市場へ向かったカイルは、他国から来た宝具ハンターたちの嘲笑を耳にする。
「トーンレス」「七色にも入れねぇゴミ色」「無力の国」。
白の国の人々にとって、これが日常だった。
しかしその晩、カイルの平穏は唐突に終わりを告げる。
王国騎士団が孤児院に踏み込み、冷たく告げた。
「北に出現した宝物殿の攻略に、カイル・レヴナードとルカ・フロイゲントを徴用する」
十六歳のカイルだけでなく、十歳のルカまで。
白がどれほど弱くても、国家は利用する。
行かなければ反逆罪――それが白の国の現実だった。
恐怖の中でも、カイルは決意した。
自分が行くことで、せめて孤児院の未来を守るために。
世界は虹色でできている――
そう信じられてきたはずの世界で、
無色として育った少年は、後に“七色に含まれない色”へ目覚めていく。
これは、
虹からこぼれ落ちた少年が、
世界の創世に隠された真実へ挑む物語。