あらすじ
一年中、無数の風鈴が吊るされている「風鈴の家」に住む老女、シオリ。彼女は風鈴の音に耳を澄ませる日々を送っている。
ある日、配達途中で道に迷った「私」は、その家を訪れる。シオリは、その家の風鈴は**彼女が出会った大切な人々との「記憶」**を象徴していると語る。風鈴が鳴っているのは記憶が生きている証拠であり、記憶が完全に消えた時、その風鈴は音を失い、二度と鳴らなくなるという。
私は、実際に音を立てない風鈴がいくつもあることに気づき戦慄する。そしてシオリは、庭でひときわ澄んだ音色を響かせているガラスの風鈴を指し示し、それが**「私」とシオリとの、今できたばかりの新しい記憶**だと告げる。
私は恐怖と切なさを感じながら家を後にするが、あの風鈴の音が、自分がシオリの記憶から消えゆく未来を暗示するかのように、頭の中で鳴り響き続ける。