あらすじ
1月生まれの千織さんと三島さんに捧げます。1月山羊座大賞ほしいです。
科学技術の進歩は、人間を神に近づけなどしなかった。
ただ、人間がいかに不潔で、欠陥だらけの有機物であるかを暴き立てただけだ。
私は、8K映像の修正職人(レタッチャー)。
来る日も来る日も、高解像度のモニターの中で他人の毛穴を消し、血管を塗り潰し、生きている痕跡を殺す仕事をしている。
肉体は汚らわしい。代謝も、排泄も、老いも、すべてが美を損なうノイズだ。
だから私は、電子の海に「ハク」を創造した。
性別を持たず、汗もかかず、老いることもない、絶対零度の美のイデア。
だが、一月の雪が降る夜。私の無菌室に、資本主義と肉欲を纏った俗世の泥が侵入する。
神聖なイデアが「消費される肉」へと堕とされようとした時、私は一つの決断を下す。
美が美のまま永遠になるために、必要な儀式とは何か。
これは、汚濁した肉体への訣別と、魂の純化を求めた男の、静かで熾烈な夜の記録。