あらすじ
その少年が残酷な運命から授かった「贈り物」は、男性とは思えないほど高く美しい「声」だった。
その声は「檻」となり、彼を閉じ込める。その声を放ち、異質な存在と扱われることが恐ろしい。
しかしその声に歌を乗せれば、たちまちに「翼」となる。規格外の才能と、鬱屈した表現への渇望。
彼の歌は魔法だった。歌えば、どんな感情だって、どんな情景だって、表現できるのだ。
彼は、その声にすがる。歌うことで、世界と繋がろうと足掻く。
その唯一無二の歌声はインターネットの海原から見出され、瞬く間に日本中に知れ渡る。
彼は何を望んだのか。名誉?栄光?巨万の富?どれでもない。
ただ彼は、「ありのままの自分」でいたかった。しかし、そのためには歌い続けるしかなかったのだ。
16歳の少年の苦悩。才能と呪い。他者との分かり合えなさ。分かち合う体温。
そして、コンプレックスの受容、自己受容。
何者でもない少年が、何者かに成ってゆく過程。それを描く、青春小説です。