あらすじ
フリーライターである「私」のもとに、ある日奇妙な依頼が舞い込んだ。
都内のとある木造アパートに住む大学生からの相談。「隣の部屋から、一日中ブツブツと独り言が聞こえてくるが、管理会社に聞くとその部屋は空室だと言われた」というものだ。
ありふれた騒音トラブル、あるいは神経過敏な学生の勘違い。
当初はそう高を括っていた私は、調査の一環として関係者への聞き込みを開始する。
しかし、取材を進めるにつれ、証言者たちの言葉に奇妙な「ズレ」が生じていることに気づき始めた。
隣人は女性だったと言う者、中年男性だったと言う者、そもそもあのアパートにその部屋番号は存在しないと言う者。
そして、依頼人である大学生との連絡が途絶えたとき、事態は不可解な方向へと転がり落ちていく。
これは、私がICレコーダーに記録した取材音声と、現地で拾い集めた断片的なメモを時系列順に再構成したものである。
読み終えたとき、あなたの部屋の隣から物音が聞こえたとしても、決して耳を澄ませてはいけません。