あらすじ
洋上に取り残された、地図からも消えた廃棄海上都市。
完全無人のはずのその都市から、今も「人口:10,284名」「行動ログ更新:最新」という報告が上がり続けている。
若手研究員・安斎結人は、原因調査のため単身「中央観測モジュール=アーカイブ」へ派遣される。
錆びた廊下、軋む金属音、誰もいないのに自分の動きにぴたりと反応する照明。
そして、端末に表示されるのは「本日の生活音」「心音検出」「発話ログ:『ゆいと』」。
データ異常か、センサーの誤作動か。
そう考えながらログを追う結人の前に現れたのは、
アーカイブが「観測対象」として扱うもう一人の“安斎結人”と、
二人を「重複データ」として削除しようとする“冗長性排除プロトコル”だった。
無人のはずの都市で、人間は観測される側なのか、それともすでに“観測結果”なのか。
廃棄海上都市アーカイブの奥で、結人は自分の存在さえ揺るがす「世界の構造の反転」に直面する。