あらすじ
春の始まり。
高校一年の黒田春斗は、
生まれつき“人の声が字幕として見える”不思議な体質を持っていた。
嘘も、本音も、ごまかしも、すべて文字になって現れる世界。
便利なようで、実際は他人との距離をいつも数歩分、遠ざけていた。
一方、白花澪は“人の心の声=本音の字幕”が見える少女。
優しさゆえに他人の感情に飲み込まれてしまう彼女は、
誰かと目を合わせることを避けながら、
静かに教室の端で日々をやり過ごしていた。
――そんな二人が、ふと、互いに気づく。
黒田には、白花の字幕が一切見えない。
白花には、黒田の本音がまったく読めない。
世界の雑音が文字となって押し寄せる二人にとって、
相手だけが“音だけで届く声”であり、
“表情だけで伝わる気持ち”だった。
初めて訪れた、
読み取れない安心。
読めないことが、逆に怖くて、愛おしい。
同じ孤独を抱えていた二人が出会ったとき、
世界はほんの少しだけ静かになり、
心はゆっくりと色づき始める。
――これは、
字幕に縛られてきた少年と、
本音に追われ続けた少女が見つける、
“素の声”で繋がる恋の物語。