あらすじ
薄暗い骨董店「時の砂」には、店主マダム・ローザだけがその真価を知る「忘れられたメロディの箱」という名のオルゴールが置かれていた。この店を訪れるのは、皆、記憶や希望など、心の大切な何かを失った人々だった。
ある雨の日、胸が冷たい空洞だと感じる少女ミアが店を訪れる。マダム・ローザは彼女をオルゴールへ導き、失ったものの名前を心で唱えれば蓋が開くと教える。しかし、ミアは何も思い浮かばない。
彼女が諦めて立ち去ろうとしたその瞬間、オルゴールの蓋がわずかに開き、光の粒と、純粋な**「喜び」のメロディが漏れ出す。その音色は、ミアの心の空洞に染み渡り、彼女はそれが「笑い方」**、つまり素直な笑顔の感情だと気づく。
蓋が完全に開くと、中には虹色の鳥が歌っており、ミアは初めて心から笑う。鳥はミアの胸に入り込み、店は夜明けのように明るくなる。
ミアは失った笑顔を取り戻し、オルゴールは再び静寂の中へ。マダム・ローザは、次の「忘れもの」を見つけに来る客を待ちながら、箱を優しく撫でるのだった。