あらすじ
その夜、老婆と守衛が村役場で怪死した。老婆は乳歯を吐きつつ脳内から湧き出た子供の手によって後頭部を蟹の甲羅のごとく割られて。守衛は若い女の肉片にその胸を突き破られて。
怪異、妖怪、化け物、幽霊、怨霊、邪神。
そういった名前で呼ばれる存在によって引き起こされた、殺人等を含む凶悪事件は、ともすれば一般の人間であると、その痕跡を目視することすらできない。目視ができなければ残された穢怨(わいえん)――いわゆるネガティブな霊気や妖気や呪いの類――を採取して分析することも、はたまたそれを清掃、除去することも当然できない。
これらオカルトに属する事案の、主に後方支援をまとめて担当するのが、特殊清掃班の任務である。
M県菰野岩市(こものいわし)にある菰野岩署に拠点を持つ特殊清掃班の班長、神堂三雲(しんどうみくも)は、出張先の栃木から戻った当日に、M県内の山村でおきた怪死を含む連続殺人事件の現場に派遣されることになった。大抵の現場において、怪現象を視認できない警察官達から、三雲は鼻白まれかつ反感を買う。本件は人為的な殺人事件と怪異による殺人事件が混在しているらしく、このケースがもっとも連携が取りにくい。やりづらい仕事になりそうだと三雲が考えているところに、科捜研の上役にあたる権堂が、今回は本部勤務のある若い刑事と組むようにと言いだした。
身構える三雲だったが、権堂いわくその蛇来庚午(へびらいこうご)という刑事は、三雲と同様に「見える」人間で、かつ、本事件の発生した村の出身らしく、彼がいなくては捜査の受け入れをしないと村から条件が出されているとのことで……。
からくにの そのみたけに なくしかも ちがへをすれば ゆるされにけり
夢違いはその奥に、臭う真実を抱えるもの。
序
1.怪死
2.蛇来
3.冥婚
4.白家
5.神堕
6.赤黄
7.神成
8.契約
末
※菰野岩高校シリーズ、一番星カサブランカ、阿修羅ちゃんシリーズ、まにまに王国シリーズ、白玉の昊シリーズ(雪々と戀々を含む)と本作は同一世界線にあります。