あらすじ
二〇一五年二月、パリを訪れた大学講師の有栖川哲人は、セーヌ河沿いの古書店で、紀元前一世紀にアレクサンドリア図書館から持ち出された巻子本を、古本屋の老店主から購入する。
哲人は、真夜中のパリのリュテス円形闘技場で、〈本〉を狙うイタリア人の秘密結社の構成員に襲撃されるが難を逃れる。
三月の初めに、パリを訪れた教え子の有木雷太に、哲人は町案内をするのだが、コンコルド広場で、雷太が〈本〉に書かれているヒエログリフを読むと、二人は、コンコルド広場から凱旋門まで瞬間移動してしまう。その後、〈本〉の文字を読んでみても、瞬間移動は再現されず、その原因は不明のままであった。
哲人と雷太は、三月二十日の皆既日食の翌日に起こる、十八年に一度の〈世紀の大潮〉によって〈絶海の孤島〉になるモン・サン=ミシェルの見物に赴くためにパリを発つ。
モン・サン=ミシェル行きのバスで、二人は、日本人の若者の理音と知り合い、三人でモン・サン=ミシェルを巡る事になる。
哲人たちは、モン・サン=ミシェル島の沿岸のサン=オベールの礼拝堂を訪れる。
聖オベールは、大天使ミシェルの御告げによって、モン・サン=ミシェルを創設した人物で、大天使ミシェルは、古代イスラエルのソロモン王にグリモワールを託した天使でもある。
哲人たちは、その礼拝堂の中で、白い筺に入った『アルス・ノウァ』というグリモワールを発見し、哲人がそのラテン語の写本を詠唱した時、三人は、それぞれ、〈完璧再現能力〉〈高度言語解析能力〉〈超直感〉という〈権能〉を手に入れる。
夜になって、哲人たちは、島から出ようとしたのだが、哲人を追ってきたイタリア人の諜報員によって島に閉じ込められてしまう。
イタリア人に岩場に追い込まれた三人は、アレクサンドリアの〈本〉に記されていた〈空間転移〉術によって、〈世紀の大潮〉によって絶海の孤島と化したモン・サン=ミシェルからの脱出に成功したのであった。