あらすじ
三十四歳、社畜の末路はあっけないものだった。
夢だったイラストレーターにもなれず、ブラック企業で心を削りきった俺は、電車のホームから一歩踏み出して――気づけば“芋だらけ”の貧乏村で目を覚ましていた。
新しい名前はリチャーズ。
作物はほとんど実らず、食卓には毎日同じ味の芋粥。
家に帰れば、薬に溺れたクズ親父が寝転がっているだけ。
おまけに俺自身は、村でいじめられているひ弱な少年だった。
そんな世界で、唯一の救いは幼なじみの少女エリィ。
土魔法の才能があるはずなのに、出せるのは石ころ一個だけのポンコツ土魔法。
二人合わせて「村いちの役立たずコンビ」と笑われている。
極めつけに、俺に与えられたスキルは――
触れたものの「名前」と「簡単な説明」が頭に浮かぶだけの、最弱スキル《図鑑》。
岩を触れば「岩石」。
芋を触れば「イモ」。
人を触れば「ヒト」。
……どう見てもハズレ能力だろ、これ。
だが、魔物の巣穴に咲く花から強力な花粉の性質を知り、
薬草や素材、魔物、そして魔法までも《図鑑》で“調べて・試して・作る”うちに、俺は気づく。
このスキルは、
世界の仕組みを丸ごと解き明かせる――とんでもないチートじゃないか。
最弱スキル《図鑑》と、ポンコツ土魔法のエリィ。
芋と貧乏にまみれた村から、誰も期待していない「村いちの落ちこぼれコンビ」の小さな反撃が始まる。
薬草で傷を癒やし、罠で魔物を足止めし、
エリィの土魔法の“本当の”伸ばし方を見つけていく。
「役立たず」と呼ばれた二人は、やがて世界の運命さえも変えていく――。
芋だらけの貧乏村から始まる、
最弱スキルと幼なじみコンビの、じわじわ成り上がりファンタジー。