あらすじ
主人公(清澄 慧)は、「自分さがし」の目的で海外へ出掛ける。ある時、夜景クルージングの船上で意識を失ってしまう。気が付くとそこは古代インドの辺境地ガンダーラだった。
紀元前600年頃の古代インドを舞台として、当時の食文化を知り、村人の日常を見ながら現世の自分を考えさせられる。そして、さまざまな魔道士との対立と葛藤の中で慧の心は揺れて行く。
古代インドに実在したガンダーラ、クル、コーサラ、マガダ等の国々を巡る苦行者として、何度も死線を越えながらも自分を見つめて行く慧。それを陰から支える女 Aloka(アーロカ)。Janaka(ヤナカ)の心が慧の心と対立し、やがて物語は新たな局面を迎える。
【バックボーン】
B.C.5-600年頃の古代インドに実在した十六の大国を舞台として、現在のアラビア半島のオマーン、イランとの交易があったことを裏付ける要衝ガンダーラ国(アフガニスタンとパキスタン周辺)。更にインド・パンジャビ州からビハール州、バングラデッシュに至るまでのインド亜大陸を横断するキャラバンの道を慧の遊行とともに描く。
史実と古代インドの地勢図を元にヴェーダ、ウパニシャッド、バガヴァッド・ギーター、ニカヤ、ジャータカなどの聖典から抽出したエピソードを随所に配置。
さらに最新の研究から、当時のインド大陸にはシルクロードより古い段階の交易ルートが確立されており、驚くべきロジスティクス・システムとしてのキャラバン制度、各国の財政基盤として確立していたギルド組織はインド全土をネットワークしていた点にもスポットを当て、物語に金銀の刺繍を施す。
古代インドに実在した修行者(禁欲者・苦行者たち)の実際の修行内容と日々の生活、異教徒との対立・葛藤、この世の自身の姿とは何か?苦しみとは、男女と戒律、宿命と因果、カルマと輪廻、苦行と中道、実践と真理、そして悟り(覚醒)とは何か?
古代インドの叙事詩は、現代人が忘れかけている「人とはなにか?命とは何か?」その姿を浮き彫りにする。
壮大なスケールで描く渾身の一筆。