あらすじ
売れない小説家・神原慎一郎の担当編集になった私は作品の質を上げるため、彼の“ダンジョン取材”に同行することになった。
取材といってもただの下見程度だろう。
私はそう思っていた――――ダンジョンに入るまでは。
神原は初見のモンスターを前に、恐れるどころか静かにその機微を観察し、そして次の瞬間――――。
屈強なモンスターをあっさりと一太刀で斬り伏せた。
神原は息一つ乱さず、まるでそれが“当たり前”であるかのように。
そして本人は冷静に言う。
「ふむ、この描写は小説に活かせそうだな」
――――と。
神原は嬉々として手帳にメモを取っているが、どう見てもこれは、“取材”なんて生易しいものではなかった。
"神原慎一郎は異常な作家"
この事実は何者かによる配信を通して、世界に浸透していく――――
探索者達はその異常な強さに騒ぎ始め、ネット上ではお祭り騒ぎ。
世界は少しずつ神原慎一郎という異常な存在に気付き始める。
小説家としての才能ではなく、探索者としての才能が“最強クラス”であるという事実に。
しかし、当の本人だけは自らの力にまるで自覚がなかった。
これは、小説家として夢を追いかけながら、無自覚に最強探索者として成り上がってしまう小説家志望の男と、その隣で彼の異常性に振り回され続ける新人編集者の私の物語。