あらすじ

この世界において魔術は広く知られ、日常生活に用いられることも少なくない。  ことロンド王国においては、庶民から貴族にわたって高等教育が施されており、中には10代で国内最高峰の魔術師の称号を得た人物も存在する。  だが、便利な魔術は決して万能ではない。 魔術とは正確に魔術式を編み、そこに正確な魔力を付与することによって様々な事象を起こす事が可能だ。  故に、世界の法則以上の事象は起こせない。  対して、魔法は世界の理に干渉する力がある。  魔法を使えば、それこそ世界の|欠陥《バグ》ともいえる|世界の亀裂《クラック》の対処だって可能だ。  しかし、一度綻んだ空間を直すことはできない。 そのため、〈魔法使い〉は一度塞いだ空間には近寄らないように規制するし、安定するまで禁域となるのだ。  だが、ロミエが直した空間に、もう綻びはない。 完全な、完璧な、安定したシステムコマンドによって上書きされ、安定化したのだ。  ただの魔法ではこのようなことは不可能だ。  魔法でできるのは世界の理に干渉し、捻じ曲げて法則を超えた力を生み出す事。 世界の理自体を書き換えることはできないのだ。  だから、この世界で|世界の亀裂《クラック》を完全に直せる人物は一人しかいない。  ロンド王国西部の村落に生まれ、王都の学院に通う14歳の少女、ロミエ・ハルベリィ。 彼女はこの世界の創世神ニヒリアの生まれ変りである。 「……わたしが、直さなきゃ。わたしが壊した世界を直すことだけが、わたしの生まれた意味、理由……だから……」  だが同時に、ニヒリアは人として転生したが故、人の心を持っていた。 神である〈ニヒリア〉とは違う、人の子としての〈ロミエ〉の魂。  彼女は本を抱く。 時にそれは青く発光した〈世界の本〉。 時にそれは白紙の日記帳。 時にそれは下半分が焼け落ちた、ロミエを記した日記帳。  出来損ないである彼女は、これからどんな日記を残すのだろうか――。

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カクヨム
カクヨム2025/12/01
  • 現在の作品ただのロミエの世直しごと――だってわたしは出来損ない――